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Produce Next Report

~電力ビジネスについて~

シニアマネージャー 丹治 三則

第 36 回目は、電⼒ビジネスのプロシューマーの台頭についてご紹介いたします。

電⼒インフラのデジタル化による新しいプレイヤー出現



電⼒のデジタル化で、電⼒流通をリアルタイムで制御できる時代になりつつある。そこで台頭するのが、電⼒の消費と販売を両⽅⾏う「プロシューマー」、需要家の電⼒需要を束ねて効果的にエネマネサービスを提供する「リソースアグリゲーター」、需要家に対して電⼒
を活用したサービスを提供する「UX デザイナー」である。これらのプレイヤーを中⼼に、今後の電⼒サービスに関する考察を⾏う。本稿ではまずプロシューマーの台頭とプロシューマー向けのビジネスについて考察を⾏う。

プロシューマーの台頭とビジネス


再エネと分散電源の導⼊で電⼒の流通は双⽅⽅向化し、プロシューマーが台頭すると考えられる。プロシューマーは、住
宅、ビル、⼯場などの電⼒の消費者が、⾃家発電を活⽤して電⼒の⽣産者になり、個々の電⼒コストを最⼩化すること
を目指す。
この取組が拡⼤するためには、①プロシューマーの⾏動にインセンティブを与えるシステム設計、②プロシューマーの個々の
⾏動を⽀援するビジネスの 2 つが求められる。

①プロシューマーの⾏動が電⼒系統の負担を減らすように、価格インセンティブが存在する。例えば、電⼒消費の少ない
時間帯に電気料⾦を安くする「タイムオブユース」や、ピーク電⼒を引き下げれば電気料⾦の追加負担を少なくする「デマ
ンドチャージ」、電⼒不⾜時に電⼒消費を抑えると報酬を得られる「デマンドレスポンス(DR)」等である。
②⾃ら最適な電⼒消費・⽣産⾏動を選択するため、天気や電気料⾦、デマンドレスポンスの要請といった外部情報を
基に、電⼒消費・⽣産⾏動を最適化するエネルギー管理サービスと、建物内の空調や蓄電池、太陽電池などの状況を
監視・制御する機器などを、プロシューマーに提供するサービスが開始されている。ドイツや⽶国では既に制度設計も整
い、電⼒会社が⾃社の⼤⼝需要家に対してプロシューマー化を⽀援しビジネスの成功例がある。⽇本では、①のインセ
ンティブ設計が未整備であるが、今後の動向が注目されるビジネスである。