REPORT

Produce Next Report

~自動車の未来~

取締役  小林 弘樹

第13回目は、自動車の未来について、ご紹介いたします。

はじめに



先月まで開催されていた東京モーターショー、世界 5 大モーターショ
ーの 1 つとあって、大盛況のうちに幕を閉じました。

Daimler 社の Vision Tokyo に代表されるよう、未来の技術が具
現化してお披露目となった貴重な場となりました。

近年、自動運転や IoT(テレマティクス)が話題となり、多くの人が
知っているほどの認知度となっています。

本日のレポートでは、自動車の未来について記載させて頂きます。

自動車の未来


まず、世の中の変化について。

クルマの用途は国ごとで異なりますが、多くはショッピング、通勤、ドライブ(旅行)などが大半を占めます。近年のネット社会が進展する中、多くのショッピングは実際にモノを見なくてもよくなってきており、在宅勤務を導入する企業も増えてきています。

ドライブをそもそも趣味としない若者が増えてきているなど、実は自家用車が減っていく要素が増えてきています。

もちろん、新興国市場が活況だったり、先進国でもまだドラスティックなクルマ離れは始まってませんが、予兆は見え始めています。

事実、東京都内の中心地で暮らす方にとって、車は趣味レベルでしかなく、ネット社会の台頭に伴い、必然性は少なくなって
きているように感じます。

次に技術の変化について。

自動運転が実現されれば、運転行為が不要となり、タクシーはどこにいてもいつでも乗れるオンデマンドタクシーとして、快適な移動が実現されます。また、車内空間も、AI 技術の進展により、快適なプライベート空間となり得ます。

これらのコンセプトは東京モーターショーでも発表されていた通り、もう誰もが知っている実現できる未来です。

しかし、これらの技術が本当に世の中にとって必要な技術とするにはサプライサイドの努力が必要です。

上記の通り、世の中的なクルマ離れの流れは続いていくと考えられます。移動する必然性を感じない人も一定割合を占めて
いくでしょう。

IoT が進展する世の中が形成されるなら、それこそどこにいても誰もが同じ景色を共有でき、同じ会話で盛り上がれるでしょ
う。

現在のチャットと電話形式ではなく、もっとリアルに近い媒体・周辺サービスの台頭もあります。映画やアニメで見られる「物理的距離があったとしても、本当に横にいるような感覚」も実現されるでしょう。

そんな時代が進展していく中、移動する必然性(それは楽しみ的な要素かもしれませんし、全く違う要素かもしれません)を
どう出していけるかが、今後の自動車業界に求められる動きと考えられます。

自動運転が 2020 年から 2030 年の間に実用化されようとしていますが、それまでにネット社会がどれほど世の中を変え、移
動の必然性をなくしてしまうか。

日本では買い物難民・医療難民がほぼ移動を必要としない世界で生活できる動きもあります。ネットを通じた不自由ない生
活が実現されれば、クルマ衰退の脅威は現実のものとなります。

移動機会そのものの確保、その中でも自動車が選ばれる必然性、そこをどう各社が取り組んでいくか、業界全体で取り組む
のか、今後の動向が見ものです。

Google など、新たなプレイヤは自動運転の社会を実現する、というよりも、ネット社会で人と人、人とモノの物理的距離をな
くすための一手段として自動運転技術を強化しているとの話もあります。

まだ顕在化していない物理的移動と、ネットワーク社会の競争環境。

当社としても、これら先進的課題へ取り組むべく、今後の動向の継続ウォッチと見極めを続けていきます。