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~RPAについて~

パートナー 北村 俊樹

第 41 回目は、RPA の運用についてご紹介いたします。
最終回である第 3 回は RPA の運⽤について考えていく。「野良ロボ」という⾔葉を⽿にしたことはないだろうか。

野良ロボとは︖




「野良ロボ」とは、RPA の導入を進めていくにつれ、RPA の適⽤範囲が拡⼤し、管理担当者が不明となって保守されないロボットのことである。このようなロボットは誰からも放置されたまま、メール送信やファイル⼊⼒など決められた処理を続けてしまう。

RPA 開発はシステム開発に⽐べ容易であるが、その容易さが仇となり、誰もが好き勝手にロボットを作成することができてしまう。導⼊当初は中⻑期的なビジョンを掲げ、RPA の開発・導入を組織的に推進していても、プロジェクトが終結し、RPA が浸透した後には個別の部署の判断で RPA の開発が⾏われてしまう。

各部署で独⾃に開発されたロボットは、管理担当者の異動・退職をきっかけに引継ぎがなされないまま放置される。また、業務システムの改修に伴い、ロボットの改修が必要となっていたが、システム部から詳細な情報の連携がなく、ロボットが間違った⼊⼒をし続けるなど RPA を導⼊した後に上記のような「野良ロボ」が発⽣しているケースが散⾒される。

野良ロボ対策


では、誕⽣してしまう「野良ロボ」に対してどのようにして、対策を打つべきだろうか。

「第 2 回 RPA の具体的な導⼊事例と成功要因」の中でも、RPA は主管部署を決め、全社システムへの連携やライセンス管理を⾏うべきであると、少し触れさせていただいたが、「野良ロボ」についても同様である。前述したようなケースを回避するためには、全社的なガバナンスを効かせていくことが不可⽋である。

RPA の主管は利⽤する業務部署であることに変わりないが、IT 部門の役割も非常に重要である。まずは、どのようなロボットが作成され、どういったシステムにアクセスし、何の情報を取得しているのかしっかりと把握しておく必要がある。そのためには、業務システムへのアクセスコントロールや、ロボット開発の開発管理、ロボットの操作ログの取得・管理などが必要である。
また、悪意の有無にかかわらず社員がロボットを利⽤して、普段の業務の範囲では知りえない、経営の機密情報を知ってしまうことも考えられる。社内の総務、リスク管理部門といった間接部門についても RPA に関する社内規定の整備や、運⽤管理も必要不可⽋である。

導入時のポイント


このように RPA の運用について考えていくと、関連する部門は業務・IT・間接部門と多岐に渡り、既存のシステム開発と同等の運⽤管理体制を設ける必要があることが⾒えてくる。導⼊時には、RPA の実装後を⾒据えて全社横断的な運用体制で検討を進めていくことをおすすめする。

RPA で削減できる業務量は多いため非常に魅⼒的な技術ではあるが、導⼊当初に描いた削減効果が実態を伴わないような夢物語で終わらせてはならない。RPA 導⼊にあたっては、「野良ロボ」を認めない強固な保守体制を構築していくことが非常に重要である。

当社では、業務整理・RPA 導⼊といった単なる導⼊⽀援だけではなく、その後の運⽤を⾒据えた体制構築、ガバナンス整備、定着化支援までをトータルサポートで提供している。RPA 導入を全社レベルでスタートしたが、導入後の運用イメージまで描けていないクライアント様がいらっしゃいましたら、ぜひ当社までお声掛けください。