REPORT

Produce Next Report

~Withコロナ/Afterコロナ時代のDX~

マネージャー 松丸 遼

~第2回 コロナ時代に企業が短期的に取り組むべきDX~

 

はじめに

昨今回のProduce Next Reportは、前回配信した【Produce Next Report Vol.66:Withコロナ/Afterコロナ時代のDX】の第2回。「コロナ時代に企業が短期的に取り組むべきDX」をテーマにレポートする。

特に、「BCP対応」と「リモートワーク」について、重要なポイントを解説していきたい。

 

BCP対応

これまではBCPがあまり重要視されていなかった

BCP(事業継続計画)と聞いて、あまりピンと来ない方も多いのではないだろうか。というのも、BCPは平時ではあまり出番がないからだ。BCPとは、企業が自然災害やテロといった緊急事態に直面した際に、事業を継続できるように対策を講じ、その方法を取りまとめた計画のことである。つまり、緊急事態に直面した際に、その効果を発揮し、重要性が認識されるため、平時では存在感が薄い。

 

新型コロナウイルス影響で「BCP=重要」という”雰囲気”になっている

今回、緊急事態宣言が発令されことで、人々の移動が制限され、これまで”当たり前”に行われていた働き方が、制限されてしまった。結果、従来の働き方以外に選択肢を持ち合わせていない企業は、事業縮小や倒産といった状況に陥ってしまった。このような状況に陥らないためには、「あらゆる状況を想定し、それに対する対策を綿密に準備しておくことが大事(=BCPをしっかりと策定しましょう)」という雰囲気になってきている。

 

形式的なBCPに価値はない。状況に応じて進化し続けることが大事

雰囲気に流されて、形式的なBCPを策定することに、価値がないと筆者は考える。大事なことは、「常日頃から事業を継続させるためには、何ができるか考え、一度策定した内容に満足することなく、世の中の変化を常に捉えながら、より良いものへブラッシュアップし続ける」ことだ。

例えば、今年の1月頃に武漢で新種のウイルスが出始めたころに、即座に反応しBCPを見直すことができた企業があれば、大きく他社を引き離すことができたのではないか。経営者は常に最悪のシナリオを想定し、アジャイル的にBCPを見直していくことが求められ、その巧拙によって企業価値に大きく差がつくことが今回のコロナ禍で明らかになったと思う。

リモートワーク

急に開始したリモートワーク、結局そこまで浸透しなかった

次にリモートワークについて触れたい。コロナ禍においては、企業環境が急激に変化したため、「感染拡大を防ぎつつ、品質、生産性を担保したリモートワーク環境の構築」が必須の対策として求められている。

特に、緊急事態宣言が発令された際には、なし崩し的にリモートワークを開始した企業が多く見られた。一方で、緊急事態宣言が解除されると、従来の出社スタイルに戻りつつあるとの報道もよく見る。付け焼刃な対応により、リモートワークが浸透していない現状が窺える。

 

デジタル化の遅れがリモートワークの障壁に

なぜリモートワークが企業に浸透しないのだろうか。様々な要因はあるが、物理的な障壁として、「出社しないとできない業務が多く残っている」ことが挙げられる。例えば、紙。過去資料を紙で保管していると、出社しないと閲覧することができない。紙を使った社内決裁により、出社して上司から押印してもらわないといけない。こういった場合に、出社を余儀なくされるケースがある。つまり、従来の業務オペレーションのデジタル化が、リモートワーク浸透の一つの重要な要素と言える。

デジタル化を進める際は、デジタル化が目的にならないように注意する必要がある。デジタル化を目的にすると、導入することがゴールになってしまい、「何が変わったのかよくわからない、効果が実感できない」といった事態に陥りやすい。そうならないためには、「デジタル化することで、何ができるようになるのか」を正しく理解し、「どのような効果を得たいのか」を最初に定義し、ゴールを明確にすることが重要だ。

 

ここまで、あえて「デジタル化」という表現を使ってきた。これは「デジタル化」と「DX」は異なることを明確にしたいからだ。デジタルツールの導入を通じて、業務オペレーションを見直し、リモートワークに対応することは、ただの「デジタル化」に過ぎない。一方で「DX」とは、「デジタルテクノロジーを積極活用し、新たなビジネスモデルの創出および、既存のビジネスと組織を根底から変革し続けること」と当社では定義する。つまり、ビジネスモデルや組織にまで踏み込むことで、「企業を変革」することが、目指すべき「DX」の姿と言える。今回は「短期的に取り組むべきこと」ということで、「デジタル化」が中心になってしまったが、次回は「中長期的に取り組むべきこと」と題して、「DX」を目指すうえで重要なポイントを解説していきたい。

 

終わりに

当社では、コロナ時代を共に乗り越え、次の未来を創造していくための土台作りとして、完全オンラインで主導していく様々な企業変革サービス「Online Business Transformation(OBX)」を立ち上げた。今回ご紹介したオペレーション改革、BCP策定を初め、様々な企業変革をご支援している。企業変革を取り進めるうえでお困りの方は、是非ご連絡いただきたい。