第 28 回目は、Neuro-Marketing の普及について、ご紹介いたします。
日本経済新聞は、2017 年にテレビとインターネットの広告費割合が逆転すると予測しています。この背景には、インターネット広告がテレビに比べて効果測定が容易であり、ROI が最重要視される昨今の経済状況の中、効果測定可能なメディアに予算をシフトさせる傾向が強まっていることが大きな要因となっています。
このように需要が高まるインターネット広告において、「どの施策が効果に寄与しているか」かの How の分析に留まっていましたが、「脳科学」を利用することにより、「何故、その施策が効果を示すのか」という Why の部分にアプローチする Neuro-Marketing が新しいアプローチとして注目されております。
「Why」へのアプローチについては、これまでにもフォーカスグループ、ユーザーサーベイなどがグループ調査を用いて調査を実施していました。しかし、既存の調査方法では、参加した個人の解釈・言動という定性的なデータに依存してしまうため、データ信憑性においては不十分という課題を包含しておりました。
この課題に対し、「Neuro-Marketing」は、実際に脳内活動を観測することにより、無意識レベルにおける消費行動を含めた測定を行うことが可能となり、「自分の消費行動に対する自分の解釈ではなく、無意識レベルでの消費行動の本当の原因はどこにあるか」の探求を可能としております。
Neuro-Marketing により、「どのメッセージ訴求が理想なのか」だけでなく、どのメッセージが最も記憶に残るか、どの気持ちが購買につながるか、マーケティング業界で特に重要視されている戦略的な情報が明確になることを期待できます。
現在の技術では、MRI を使用した脳波の繊細変動を観測し、どの製品・メッセージに対する反応が強いのかというレベルでしかない検証できませんが、EU と USA すでにそのサービスを提供するベンチャー企業が増えていることで精度さの向上と技術の多様化は十分期待できます。
Marketing Mix Model のような高度な「HOW」アプローチと Neuro-Marketing 組み合わせ、更に ROI の高いマーケティング活動が可能となる未来はそう遠くは無いかも知れません。