第 33 回目は、IoT・AI の潮流とマネタイズの成功事例について、いかに IoT でマネタイズするかをご紹介させて頂きます。
「経営層からは、『IoT を推進しろ』と言われるのですが、現場に話しても『昔からやっている。何が違うのだ︖』と反論されす・・・」、
「2 年位前までは、IoT の PoC というと予算が下りたのですが、最近は『財務効果はでるのか︖』と詰められ、なかなか PoC もできません・・・」
最近、企業で IoT を推進する方々から、こんな相談をされることが増えてきた。いかに IoT で財務効果をあげるのかが、悩ましい経営課題となっている。
ライズ・コンサルティング・グループでは、米国・日本の大企業・スタートアップ企業を広く調べ、IoT で財務効果を出してい
る領域を絞り込んだ。
まず一つ目は、IoT のハード/ソフトを開発・販売する会社だ。これは、IoT を推進する企業に向けて納入しているため、
⼀定の成⻑がみられる。例えば、Idein 社や、Sigfox 社などがあげられる。但し、実態は、省電⼒のセンサや組込みデ
バイス等のハードや、通信プロトコルや画像解析等のソフトだ。IoTという⾔葉が⽣まれる前から続いている事業でもあり、
新規参入は簡単ではない。
二つ目は、IoT のプラットフォームだ。これは、IoT やクラウドの成⻑に牽引され、最も成⻑しているセグメントだ。例えば、
Amazon Web Service 社や Google 社のクラウドサービスだ。但し、ブランドと規模が重要なため、新規参入は簡単
ではない。
一時期脚光を浴びていた IoT によるサービス業では、ほとんどマネタイズができていない。例えば、スマートデバイスを管理
できるアプリを開発・販売している Stringify 社等だ。同社含め、IoT サービス業単体で⿊字化できているところは、当
社の調査で発⾒することはできなかった。
上記を踏まえると、企業が「IoT を活⽤した新しい取り組み」により、財務効果を出すことは難しい。つまり、成功事例が
多い「ハード/ソフト開発・プラットフォーム」領域では、すでに先⾏者や圧倒的強者が存在するからだ。
では、企業は IoT をどのように活⽤すべきか︖それは既存事業を強化することだ。例えば、古くはコマツ社が IoT サービ
スの KOMTRAX を導⼊し、ユーザの保守や⾞両管理等を圧倒的に効率化し、コマツの建機の競争⼒向上に⼤きく貢
献した。新しくは、Amazon 社のアマゾンダッシュボタンを活⽤することにより、ユーザには利便性を、メーカには新たな顧
客囲い込み方法を提供しつつある。
次回は、2 つの事例を詳細に⾒て、いかに IoT を既存強化に活用すべきか考えていきたい。