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~iBeaconがもたらす新サービス~

執行役員パートナー  山口 正智

第2回目は、iBeaconがもたらす新サービスについて、ご紹介いたします。

iBeaconとは



今回は「iBeacon」というキーワードに注目したいと思います。

「iBeacon」とは、BLE(Bluetooth Low Energy:低電力のBluetooth通信)を使った新技術で、iPhoneのiOS7に搭載されたことにより注目が集まりました。

AndroidもOS4.3から同様の技術を搭載することから、全てのスマートフォンに対応する技術となるため、これをビジネスチャンスと捉え様々な企業がiBeaconによる新たなサービスを模索しています。その仕組みは、ビーコンと呼ばれる小さな端末が設置されているエリアにスマートフォンを持って入ると、事前に定義したアクション(情報配信、位置情報配信等)が行われるという、とてもシンプルなものです。 その仕組みは、ビーコンと呼ばれる小さな端末が設置されているエリアにスマートフォンを持って入ると、事前に定義したアクション(情報配信、位置情報配信等)が行われるという、とてもシンプルなものです。では、この「iBeacon」が普及することによってどのような世界が実現されていくか、①利用者②サービス提供者の観点から我々の考えを語らせて頂きたいと思います。

利用者の観点から


ビーコンはとても安価で、電源も電池のみで稼働しますので、配線等の心配がありません。つまり、あらゆる場所にビーコンが設置されていくことが想定されます。特に多くの人が集まるような場所では、集中的に設置されることになるでしょう。利用者は、スマートフォンを持っているだけで、その時・その場所で必要な情報を次々と得ることが出来るようになります。例えば、お店の前を通ればお得な情報やクーポンが配信されてきたり、雨が降りそうだなと思ったら最寄で傘を販売しているお店から「傘ありますよ」というお知らせや、雨宿りの場としてカラオケBOXや喫茶店からその時の混雑状況が配信されてきます。

デパートなどの建物に入るとマップが表示され、自分がどこにいるかが分かるようになり、行きたい場所までのルートが表示されるようになります。現在でもGPSを使って同様のサービスがありますが、「iBeacon」によりGPSでは実現できなかった地下および高さに関する位置情報まで把握することが出来るため、フロアレベルでの案内が可能となります。

また、決済の方法も変わってくることが予想されます。現在ですと、現金あるいはクレジットカード、最近ではSUICAやEdyなどのNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)を使った決済手段で支払いを行われているかと思います。「iBeacon」では、予め設定したエリア、例えばレストランに入ったタイミングでスマートフォンにレストランのアプリが起動します。アプリから注文も行え、店を出るタイミングでは特に意識することなく自動的に決済が完了している、というようなイメージです。ポイントカードの仕組みも同様で、自動的にポイントが追加されます。

つまり、利用者は自らアクションすることなく、その場で自動的に得られるいくつもの情報から次の行動を決定することが出来るようになるのです。これまで気づかなかった街中の様々な情報に触れる機会が増えて、またセール情報や混雑状況などをもとに効率的な時間の過ごし方が出来る。「iBeacon」が、皆さんの行動をより快適にしてくれると思います。

サービス提供者の観点から


利用者にとってメリットがある情報を提供し、それをマネタイズしていくために、様々なサービスが企画・開発されていくことが想定されます。特に注目されているのが、O2O(Online to Offline)マーケティングでの利用です。利用者にOnlineで情報を提供することにより、Offlineでどのような行動を促し、収益に結びつけていくか。「iBeacon」でのビジネスを検討している各サービス提供者の狙いがここにあります。

これまでの広告媒体と比べると、「iBeacon」の強みは2点あります。

1点目はエリアごとに広告を配信できること、もう1点は配信の内容・タイミングをリアルタイムに決定できることです。

ビーコンを設置したエリアごとに情報配信が行えますが、通信の距離を1m以内~10m以上で段階的に予め設定することできますので、ビーコンを設置した位置からの距離に応じて、それぞれに見合った情報を発信することができます。

例えば、仕入れに対して思うように売れなかった生鮮食品があれば、

店舗や周辺の人々にタイムセールとして情報配信することで集客を促し、解消できるかもしれません。「iBeacon」が”O2Oの切り札”となる可能性を秘めていることが、皆さんにもお分かり頂けるかと思います。

我々が考えるべきこと


このように、「iBeacon」が新たなサービス、ライフスタイルを生み出す仕掛けとなることが見えている中で、我々コンサルタントは何をすべきか?1つには、「iBeacon」の特性を生かして利用者の視点から望まれるサービスを見つけ出し、最終的に事業者が収益を生み出せるようなビジネスを作り出すことです。もう1つは、業界構造の変化を読み取って、他のプレイヤーに対して対抗するための戦略を描いていくことです。スマートフォンもウェアラブルになったり、「iBeacon」も新たな技術が搭載されていくかもしれませんが、その変化を先読みし、時代に適したビジネスを作り出していけるよう、我々も変化に立ち向かっていきたいと思います。