第 27 回目は、FinTech 入門 第4回:FinTech と AI について、ご紹介いたします。
まず、昨今の AI(Artificial Intelligence = 人工知能)ブームは、第三次 AI ブームと呼ばれており、その立役者であるディープラーニングという考え方は、ビックデータに支えられながら進化してきており、同時に人手では到底分析しきれないその大量データの扱いのために、AI を活用せざるを得ないという相互の関係が成り立っています。これは IoT(Internet ofThings = モノのインターネット)の出現も相まって、世の中に爆発的に大量データが吐き出されるようになったことも起因しています。
では、この AI の技術を当面どうやってビジネスの分野に活用していけば良いでしょうか?その回答を見つけるためのアプローチとしては、既存の仕事のやり方や業務フローを見直し、いったんそれらをできる限りバラバラに分解(Unbundle)し、再度 AIを取り入れて再構築(Rebundle)するといったやり方が考えられます。すなわち、現時点で AI によって実現可能なタスクをイメージし、置き換えが可能なもの、その費用対効果が高いもの、または従来にない高い性能(精度、速度、品質、品質のバラつきの少なさ等々)を発揮できるものといった観点で、個々のタスクについて、順次 AI で置き換えていくこと、また業務全体のプロセスと結果について、評価・見積もりをし、改善効果を繰り返し検証していくことが重要です。
FinTech という観点では、金融分野において、上記流れに基づき、特に融資や投資といった金融取引一般における与信審査業務が AI により見直しを図られるようになってきました。これは人間では扱いきれない膨大かつ過去の成功や失敗事例のデータと照合し、確率計算やパターンとしての類似性の認識をし、高度な数理モデルを用いた多彩な過去事例との類似度を判定することで、これまで融資担当者の俗人的な判断によって行われていた融資業務を科学的・客観的にサポートしようとする取組みです。英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が「未来の雇用」という論文の中で発表した「AI の出現によって、将来的(10 年後)に無くなる職業」の1つに「銀行の融資担当者」が含まれているのは、これらのトレンドを抑えた発言ということでしょう。また、イタリアの FinTech 企業 Euklid 社のように、さらにその先を目指し、従来の銀行業務をほぼ全て AI で置き換え、無人化するといった大きな目標を掲げている企業もあります。
当社では、これまでも金融業に関わらずさまざまな業界・業種の業務改革プロジェクトに従事してきました。今後は AI 活用の上記アプローチも踏まえながら、引き続きクライアント企業の価値向上に寄与するコンサルティングサービスを提供してまいります。