第21回目は、FinTech入門 第2回:保険の未来(InsTech)について、ご紹介いたします。
前回に引き続き、第2回目も保険(InsTech)について最新のトレンドを紹介いたします。昨今 Airbnb や Anyca に代表されるシェアリングエコノミーのトレンドが目立ってきましたが、保険
業界でもこうした信頼ベースの保険商品が開発されています。その中で有名な企業としては、Friendshurance
(https://www.friendsurance.com/)というドイツで創業した P2P 保険というサービスを展開している企業が有名です。
P2P(ピア・ツー・ピア)という言葉自体は、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?これは、複数の端末が集まってグループ(同志)を形成し、通信など何かしらのやりとりを行うことを指します。十年ほど前にブームになったファイル共有ソフトや最近話題のブロックチェーンなどもこの P2P の考え方(技術)がベースとなっています。
では、P2P 保険とはいったいどんな保険なのでしょうか?例えば、自動車保険に加入したいと考えている人が友人などに声を掛け、グループを形成し、Friendsurance に対し、保険料を支払います。Friendsurance は、保険料の一部を保険会社に掛金として支払い、残りのお金は自社でプールしておきます。仮にこのグループのメンバーの1人が事故を起こしてしまった場合、その被害が小さい場合は、保険会社からではなく Friendsurance のプールしておいたお金から修理費が支払われることになります。ただし、プールしていたお金よりも大きな被害が発生してしまった場合は、通常の保険と同様、保険会社に対し、保険金の支払いを請求する流れとなります。もし何も事故が起きなかった場合は、プールしておいたお金がグループのメンバーに返還されます。
この場合のメリットは何でしょうか?それは、グループのメンバー全員が、当然プールしておいたお金がきちんと返却されることを望むため、お互いの目を気にする形になり、普段の運転や行動に対し、慎重になります。結果的に自動車事故の割合も減少します。また、保険会社も自ら加入者拡大に向けた営業活動を行う必要がなくなり、P2P 保険の加入希望者がグループを形成して拡大していくことで結果的に、加入率も高まり保険料収入もアップします。
このようにソーシャルネットワークという現代の風潮とうまくマッチしたことで保険業界の中に、新しい保険商品が誕生しました。ライズ・コンサルティング・グループでは、保険業界のお客様のコンサルティング案件を多数受注しており、今後もこうした新しい技術や仕組みを活用したサービスの企画・検討を支援していく予定です。