第 26 回目は、Digital 入門 第 3 回:オムニチャネルについて、ご紹介いたします。
ネットとリアルを融合し顧客がチャネル意識することなく、チャネル間をシームレスに行き来し、スムーズな顧客購買体験を実現するためには、様々な壁
をクリアする必要があります。
① 店舗間および、EC 用の在庫の管理の一元化、物流網の整備。
② 顧客情報と購買情報を統合し、双方の顧客を同一人物と見せるようにすること。
③ 組織間で顧客の奪い合いにならないような組織や評価制度の見直し。
等、小売業にとって従来のスタイルを抜本的に見直す「改革」が必要となってきます。例えば、EC で購入する場合と、実店舗で買った場合に、同じ商品でも価格や在庫の状況が異なります。誰が何を買って、どんな嗜好を持っているかというデータは ECでは一般的に蓄積して分析されており、amazon のように「あなたにはこれがオススメ」という ようにレコメンドされますが、同じブランドの店舗で接客されているにも関わらず、店員は全く違ったものをおすすめします。
こうした垣根をはらって EC も実店舗も統一して運営・管理し、それぞれの販売チャネル・流通経路を連携させるためには、実店舗でもデータ収集をするにはどうするか、といった課題をクリアし、更には EC と実店舗のデータやシステムを統合しなければならないと考えます。
実店舗ではレジで POS データが集められており、お客様属性と購買デー タは収集されているが、EC との統合が難しいと考えます。タブレット POS を導入することで、EC と同一の顧客と認識したうえで、EC でのお客様属性や購買履歴を元に、接客を行ったうえで、同一データ/システム上に注文情報を入力すると一元管理はできます。ただし、スピード優先で個別最適に、後から EC チャネルを立ち上げた企業については、このような統合ができていないことが多いです。逆に amazon のように後から、リアル店舗を導入するネット企業のほうが、この壁は低いのです。実現への壁が高いオムニチャネルですが、EC や実店舗など販売チャネル(経路)それぞれが完結して商売ができるような時代ではなくなってきています。
このように、デジタルテクノロジーが企業と顧客の関係を縮めるようになった一方で、マーケティングにおいて、IT 活用をリードする部門があいまいになりつつあります。従来は IT 部門が主導するのが一般的だったが、クラウドの普及などに伴い、マーケティング部門や営業部門などが直接 IT 活用を進めるケースが増えています。但し、このような大手術を伴うような課題については、顧客体験価値視点でマーケティング部門や営業部門から課題提起されますが、データ/システム統合等の大改革が伴うとそれらすべてを統括的に管理できるのは、IT 部門だけでしょう。つまり、組織横断的に全社規模で推進しないことには、オムニチャネル戦略は成立しないのです。
ファーストフードチェーンの Subway は(店舗数で)2011 年に McDonald’s を抜いて世界最大のレストランチェーンとなりましたが、デジタル部門を新設し、デジタルテクノロジーを推進すると共にオムニチャネル戦略を打ち出そうとしています。最高情報責任者(CIO)兼最高 デジタル責任者(Chief Digital Officer:CDO)はデジタル部門で新たに採用を進めているが、データ分析、デジタルテクノロジー、クリエイティブ系の多岐に渡る人材が採用されるまでの間は、大手コンサルティングファームの支援のもと、デジタル事業に取り組んでいます。アメリカのほうが、デジタル化に向けた改革は日本より先行しておりますので、今後、日本でも同様の取り組みが加速されていくのではないでしょうか。
このように、オムニチャネルを中心としたデジタル化を推進するためには、マーケティング視点での最適な顧客体験価値設計だけでなく、業務 IT 及び、それを推進する組織についても、改変していく必要があります。
当社では、時代/企業の最先端を担う様々なプロジェクトの経験を基に、事業価値を最大化するための全社的なデジタル化戦略の策定や、デジタル活用を伴う新規事業計画の策定、及びその実行を支援致します。
ソリューション導入に主眼を置いたデジタル化推進とは一線を画し、高い専門性と経験を備えた戦略/業務改革/ITコンサルタントが、全社最適を主軸としたデジタル施策の策定及びそのスピーディな実行を、ハンズオンで支援します。
我々のこれまでの新規事業の構想・実行による成果実現の豊富な知見を活用し、デジタル化の一歩先を見据えたご支援を提供いたします。