様々なAIに関する書籍や記事において、AIにおける重要な要素はAIそのものとデータであるというように謳われていることが多い。また、当社の前回記事においてAI導入における目的策定の重要性について解説した。
では、AI導入の目的を明確化し、良質なAIとデータがあれば導入は成功するかと言えば、必ずしもそうではない。もちろん成功する場合もあるだろうが、成功の確率を更に上げるためには、他にも重要な要素がある。
最終回である今回は、AI導入における目的・AI・データ以外の重要な要素について紹介をしていく。
AI導入も1つのプロジェクトと考えた場合、そこには必ず意思決定者が存在する。不確定要素が多く世間的な期待が過熱傾向にあるAIを活用したプロジェクトにおいては、通常のプロジェクトと比べ、特に意思決定者との適切なコミュニケーションが求められる。プロジェクト計画を作成・提示しつつも「やってみないと分からない」ことを正しく伝え適切に期待値コントロールを行うことで、期待外れと解釈されることによるプロジェクト頓挫の防止に努めることが重要である。また、報告内容を極力定量化することにも努めておきたい。例えば、AIによる業務自動化を行う場合「AIの精度が〇%以上の場合、どの程度業務時間、人件費削減が期待でき、導入~保守運用にかかる費用を何年以内で回収可能」といった具合である。このように報告すれば、PoCを実施する際も、AIの精度に基づいた意思決定を行いやすくなり、AI導入への躊躇いや無謀なAIの導入を減らすことが出来る。
もう一つの重要な要素は、自社で出来る事と出来ないことを適切に切り分け、不足している分については外部リソースを積極的に活用することである。
AI導入を実現するためには、数学、プログラミング、データ分析等のスキルに限らず、AIに関するビジネス構築やプロジェクトマネジメント等、多くのスキルや知識が必要とされるが、その全てを自社で持ち合わせている企業は、それほど多くは存在しないだろう。自社で持ち合わせていない知識やスキルについては、積極的に外部リソースで補うことで、AI導入の成功確率を高めることが出来る。
3回に渡りAIの概要や導入等に関する紹介を行ってきた。AIの活用や導入については、多くの企業が試行錯誤の段階にあり、今後多くの失敗プロジェクトも生まれるであろうが、当社はAIが大きな可能性を秘めているものであると考えている。
この記事を通じて、AIについて相談したい、AI導入を実現させたいという考えを持った方がいれば、是非気軽に相談していただきたい。