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Produce Next Report

~ブロックチェーン~

マネージャー 町田 克樹

~第3回 当社における事例について~

第1回は、ブロックチェーンの特性とビジネスにおける活用分野について、第2回はブロックチェーンをビジネスに取り入れる際に気を付けておくべきポイントについて、解説させていただいた。

ブロックチェーンの有用性については、世界各地で行われている実証実験の報告などにより、近年、ビジネス現場でも理解が深まりつつある。そのため、ブロックチェーンを活用して新しいビジネスを始めたいと、当社にお声掛けいただくことも多くなってきている。第3回である今回は、当社が実際に手掛けているプロジェクトの事例についてご紹介させていただきたい。

当社は現在、様々なステークホルダーが関わるある事業領域に対し、ブロックチェーン技術を用いて効率的なデータ管理を行う新サービスの検討を進めている。その中でも、特にブロックチェーン特有のポイントとなる点をいくつかご説明する。

提供サービス



まず提供するサービスを決めていくにあたり、顧客となるステークホルダーを特定し、現在、どういった課題を抱えているか調査を行うことで具体化を進めていく必要がある。調査では、業務・IT部門といった現場の担当者の方々に、直接ヒアリングしていくことで課題を把握していく必要がある。しかし、現場目線の情報だけではどうしても既存業務を延長とした発想となってしまい、潜在的な課題の解決に繋がらないことも多い。

ブロックチェーンの新サービスでは、現場に加えて、業界全体に知見のある経営層や企画部門と綿密にディスカッションを重ねることも非常に重要である。ブロックチェーンは今までの仕組みを破壊的に変えてしまうポテンシャルを持っている。それゆえ、業界の状況や自社のポジションを俯瞰した意見の吸い上げにも注力し、サービスを固めていく必要がある。

競合サービスの動向


提供サービスが固まってきたら、今度は競合他社の動向についても注目していきたい。ブロックチェーン技術の進化やサービス化の動きは非常に早く、状況は目まぐるしく変化している。国内では事例がないサービスであっても、世界に目を向けるといかに多くのサービスが各地で展開されていることがお分かり頂けるかと思う。

一方で、ブロックチェーン技術を使ったサービスであっても、多くのプロジェクトは既に頓挫しており、当初の期待よりも成果があげられていない情報も多くみられる。そういったサービスがなぜ失敗してしまったのか、逆に成功しているものは何が成功の鍵になっているのか、競合サービスの動向を一つずつ分析していくことで、サービス開始リスクの最小化に繋げていただきたい。

ビジネスモデルとターゲティング


ブロックチェーンについてはパブリック型、プライベート型、コンソーシアム型といった様々な型があることや、ビジネスモデルについては前回説明させていただいた。新サービスをどの型式で提供するかは、システム面だけではなく具体的なビジネスモデルに直結してくるため、サービスの特徴を活かせるような型式を慎重に選定いただきたい。

その上でビジネスモデルが決まってきたら、次は提供価値を感じてくれるステークホルダーを獲得していく必要がある。一方、ブロックチェーンの共通化・共有化といった特性上、プレイヤーが集まってこないことには狙った成果を発揮できないことが多い。そのため、初期の顧客に対してはインセンティブ設計(先行者利益)が非常に重要となってくる。特に、他プレイヤーへ影響力のあるインフルエンサーを特定し、効果的なインセンティブを与えることで顧客を次々と獲得していくように、集客のアプローチを具体化していくことが重要である。

当社ではブロックチェーン活用機会の特定から導入計画の策定および導入におけるPMO支援を行っている。
ブロックチェーンの活用をご検討の際は、ぜひ当社までお声掛けください。