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~デジタルマーケティングについて~

執行役員パートナー  東條 貴志

第4回目は、デジタルマーケティングについて、ご紹介いたします。

デジタルマーケティングの観点



現在のマーケティングにおいてインターネットの活用は必須となっておりますが、世の中に様々なツールが溢れ返り、マーケティング担当者も、どのツールを採用/組み合わせていけばいいのかよく分からないという状況になっているのではないでしょうか。従来のインターネットを活用したマーケティングでは、有力媒体/広告枠への広告出稿や検索エンジンのSEO対策、会員向けメルマガ、双方向性を意識してFacebookやLineなどでの個別のキャンペーンの効果を最大化することが目的となっています。代理店やツールベンダーから様々なツールを紹介されますが、結局使い方が従来のマス広告や販促に少しだけデジタルの要素を加えた個別最適に留まるというのが実情ではないでしょうか。

ディスプレイ広告、SEO対策、ソーシャル広告、会員向けDMなど施策単位で担当が割り振られて、担当間の連携を意識することなく施策に取り組んでおり、一体どの施策がどれだけ売上に貢献したのかよく分からないという状況になっています。

これはユーザーごとに広告接触から会員化、コンバージョンに至るまでの流れを意識した上で施策が打たれていることに起因しています。しかし、これを個別のユーザーごとの属性や嗜好、行動に合わせて施策が実施できると、どのようにマーケティングは変わっていくのでしょうか?例えば、カード会社の場合、40代のラグジュアリホテルに頻繁に宿泊する会員がバンコクの旅行サイトを頻繁に閲覧していることを認識して、旅行サイトを離れて別のサイトを閲覧している際に提携先のバンコクのラグジュアリホテルのディスプレイ広告を表示して会員の好みにあったホテルを予約してもらうといった施策を展開することが可能になります。

また、生命保険会社の場合、30代で小学校入学前の子供がいる総合保障契約をしている契約者が高校や大学など、子供の将来に向けた教育情報サイトを閲覧していることを認識して、新聞社などの教育と関係ない情報サイトを見ている際に学資保険のディスプレイ広告を表示して子供向けの保険を紹介することが可能になります。

今後に向けて


従来の取り組みでは会員/契約者に対して、個客ごとに打てる施策はログイン後のマイページのカスタマイズやDMの出し分けといった程度でした。前述のようなデジタルマーケティングのテクノロジーの進化により、会員属性を踏まえて、会員が自社サービスの外で関心/興味を示したものを把握し、それに合わせた自社のサービスの利用やクロスセルに誘導することが可能となりました。ユーザーのニーズが顕在化する前段階からアプローチを行い効率的かつ効果的な施策を行うことがデジタルマーケティングの仕組みにより可能になっています。

アプローチ


多くの企業がその可能性に気付き始め、弊社も相談をいただく機会が増えてまいりましたが、デジタルマーケティングには一発で実現できる大技は残念ながら存在しません。まずは下記の4つのステップで地道に施策が実現できる体制づくりを行うことが必要になります。

 ① そもそも自社で目指すマーケティング施策体系を明確化

 ② 顧客情報と行動情報の紐づけで実現する個客/セグメント単位での施策洗い出し

 ③ 施策実現のためのマーケティングソリューションの選定

 ④ 継続的な施策運用を実現する組織体制の構築

これらの取り組みは、最終的にはマーケティングのあり方を大きく転換していくことになりますが、いち早く進化の波に乗ることができた企業にとっては大きな成果を得られる可能性がある領域となることでしょう。