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~カスタマージャーニーについて~

シニアマネージャー 村井 高

第 30 回目は、カスタマージャーニーについて、ご紹介いたします。

デジタル化



デジタル化の進展とテクノロジーの進化により、顧客の購買行動は大きく変わり、ビジネスの在り方そのものが大きく変わりつつあり、事業価値最大化を目指す上では、事業全体の視野から、リアルとデジタルをいかに融合させるかを考え、シームレスに業務プロセス/システムに反映することが必要です。以前は【オムニチャネル】に関して、その概要、顧客インサイト、事例、実現するための課題等を紹介させて頂きました。

今回は、どのようにして、リアルとデジタルが融合した顧客体験価値を設計するのか、最近では、頻繁に活用されている手法ではありますが「カスタマージャーニー」についてご紹介させて頂きます。

カスタマージャーニーマップとは?


カスタマージャーニーマップとは、見込顧客が商品の購入やサービス利用にいたる迄のプロセスのさまざまな段階/顧客接点における「顧客のニーズを満たすために必要な施策」「施策による顧客の感情・行動」などを時系列に沿って、視覚的に表現するフレームワークで、顧客行動を旅(ジャーニー)のように可視化していくものです。

また、理想の顧客体験を描くのにあわせて、その体験を実現するにあたってのサービス提供側の業務プロセスや必要な IT機能/サービスや実現する上での課題等を可視化することもできます。

カスタマージャーニーマップの目的は?


企業が収益を上げるためには、商品やサービスを、顧客に知ってもらい、選んでもらう必要があります。これまでのテレビ、ダイレクトメール、カタログ、実店舗といった従来の販路に加えて、近年ではインターネットやスマートフォン・タブレットのデジタル技術が急成長しており、テクノロジーの進化に伴い、商品情報に接するタッチポイントが多様化してきています。デジタル⇔リアルを行き来することで、顧客は商品購入の意思決定をする様になりました。

例えば、お洒落なカフェに行きたければ、Google で検索すればすぐに見つかりますし、欲しい商品もすぐにネットで手に入ります。検索/比較・検討/購入が、スマホ上だけでもワンストップに行えるようになり、このような環境で、戦略なしに成功できる事業は限られてきており、競争が激しくなってきています。

顧客がいかにして自社の製品やサービスを知るのか、そして競合他社と比較して、自社の製品やサービスはどのような面で優れているのか、顧客はどういった点を重視して購買にいたるのかといった、消費者行動や顧客体験を理解する必要があります。顧客を理解し、自社のビジネスやマーケティングを知ってもらい、選んでもらうために、カスタマージャーニーマップは、不可欠な存在となっているのです。

一方で、カスタマージャーニーマップを用いて理想の体験を描き、すばらしいアイディアを考えても、実現する体制/仕組み等が整っていなければ、その体験価値をユーザーに届けることができません。根本的な問題は、商品やサービスではなくて組織体制やオペレーションということもありえます。カスタマージャーニーマップのように体験を提供するための施策を洗い出した後、その行動に対してフロントエンド/バックエンドにて、組織やシステムがどう連携しながら動くべきか、も可視化します。それぞれの動きを可視化することで、カスタマーセンターや物流など広く部門を横断して、組織全体でサービスをどう提供していくべきかという視点が生まれ、現状の組織体制やプロセス・システムの課題、新たな気付きが得られます。

徹底して顧客視点に立ち、顧客の体験を理解して最適な施策に落とし込む、また、業務プロセル、組織、システムでの動きを抽出することで、チームで顧客像や施策、実現するための課題共有することができます。