第 31 回目は、カスタマージャーニーマップの作り⽅の例について、紹介していきます。
作成の目的は、顧客視点に⽴ち、顧客の体験を理解して最適な施策に落とし込むことです。
① 顧客をセグメンテーションする。
例えば、潜在顧客、⼀般顧客、優良顧客、ロイヤル顧客といったかたち
で顧客情報をセグメンテーションします。具体的には、顧客データを取得
し、その⾏動データをもとに、分析を⾏うなどして、セグメント分類します。
セグメントの分類軸としては、性別、地域、年齢、購買チャネル、購買動
機、購買の RFM など様々ですが、潜在顧客、⼀般顧客、優良顧客、
ロイヤル顧客で分類する際には、RFM(最近いつ買ったか、購買頻度
はどのくらいか、合計の購買⾦額はいくらか)を活⽤するのがよいと考えて
います。セグメント別の課題やチャネルの位置づけを整理することで、顧
客の育成施策につなげやすい形に落とし込みます。
② ペルソナを設定する。
次にペルソナを設定します。テクノロジーの進化に伴うオムニチャネル化の進展により、顧客との接点は多様化し、顧客の
⾏動は複雑化していますが、自社の商品・サービスの顧客をペルソナ化して把握することは重要です。またその際に、ペル
ソナにたどり着いて欲しいゴールも明確にしておきます。潜在顧客︓「初回購⼊」⼀般顧客︓「リピート購⼊」優良顧
客︓「クロスセル・アップセル」ロイヤル顧客︓「定期購⼊」「SNS での口コミの拡散」など、各顧客ゴールはさまざまなの
で、目的や課題の再確認ができます。まずは手元にある情報あるいは、自分自身が消費者となった視点で、ラフにペルソ
ナを設定してみます。その後、顧客アンケート等から精緻化していくのがよいですが、具体的に1人の人物像を想定して
いきます。
③ フレームを決定する。
続いて、カスタマージャーニーマップのフレームワークを決定します。シンプルには、横軸に「認知」「興味・関心」「比較検
討」「購入」「共有」という顧客購買の流れを軸とし、縦軸は、「⾏動」「タッチポイント」「思考・感情」が必要です。尚、「タ
ッチポイント」とは、そのフェーズでペルソナが想起、⾏動をとる際に使うメディア・WEB サービス・SNS などを指します。例え
ば Facebook で友達がシェアした記事から、商品・サービスを知った場合は、タッチポイントは Facebook となります。
④ ⾏動パターンを設計する。
次にそのペルソナが、⾃社の商品・サービスを認知して購⼊するまで(あるいは購⼊後の⾏動まで)に、どのような⾏動
をとるのかを仮説として設計します。③で設計したフレームワークに沿って、各フェーズ(横軸)でペルソナがとる⾏動を洗
い出していきます。またここで⽴てた仮説は顧客の声を集め検証すると、より精度があがります。
⑤ 必要な施策/課題を洗い出す
理想となる顧客の⾏動パターンが設計できたら、次に、「必要な機能」「実現するうえでの課題」を縦軸に追加して、抽出
していきます。例えば、EC サービスで、お得にセットで購買したいという「思考」「感情」に対しては、関連する商品をお薦
めする、そのためにはレコメンド機能が必要とか、セット商品の設計が必要であったりとか、レコメンドエンジンのソリューション導入が必要であったり、などです。
また、例えば、商品選定に迷っているお客さまに対して、チャットでアドバイスするには、その⽀援をするためのコールセンター業務が必要、などです。
このようにしてカスタマージャーニーというフレームワークを使うことで、徹底して顧客視点に⽴ち、顧客の体験を理解して最適な施策に落とし込む、また、業務プロセス、組織、システムでの動きを抽出することで、チームで顧客像や施策、実現す
るための課題共有することができるようになります。